海外と比べるとまだまだ「肉文化の浅い日本」

“ごちそう”としてレストランや食卓にも登場するステーキ。

肉を食べることは最大のエネルギー補給となり、厚切りステーキが焼き上がるのを
想像するだけで無性に食べたくなる時ってありますよね。

肉好きな人にとっては、毎日のように食べても飽き足りないステーキですが
海外と比べると日本人の肉の消費量は圧倒的に少なく、肉自体を食べる習慣がまだ
それほど定着していないのが現状です。

「私はそんなことない」と思う肉食系がこのページをお読みの方にいるかもしれません。
ですが、肉大国と言われるアメリカにおいて年間125キロ、1日に計算すると
おおよそ350gの肉を毎日食べ続けているというデータがあります。

外国産の赤みの強いステーキであれば、例え美味しくても食べ切るのに相当アゴが疲れますし
消化するための体力が必要です。頑張っても200gを月に3〜5回がいいところではないでしょうか。

肉大国と言われるアメリカで食べるステーキの大きさと、山盛りにされたポテトフライには
胃袋の違いを感じずにはいられません。

なぜ、これほどに差があるのか?

じつは日本では肉食が禁止されている時代があり本格的に食べられるようになったのは、まだ150年ほど前からなんです。

それまでは米や野菜、魚介を中心とした食事を長く続けてきた日本人にとって、食習慣による違いが肉消費量の少ない原因と考えられます。

家畜である牛を食べることなど考えもしなかった祖先の時代から、肉食が解禁され盛大に推奨されるようになることで
「肉を食べて活力を養おう!」と国民にすすめた有名人や、ステーキを愛した当時の文豪たちなど、歴史的な背景についてもご紹介します。

肉食を食べない時代が1000年もあった!

肉が公に解禁されたのは明治になってから、文明開化により西洋文化を盛んに取り入れようと
それまでのちょんまげを辞め、着物から洋服へと暮らしがガラッと一変して行きます。

それまでの日本では、天武天皇の時代(675年)より肉食禁止令が出され牛、馬、鶏、馬、犬、など
これらの4足歩行の動物は汚れがあるとタブー視されていました。驚くことに1000年もそれは続きました。

その理由には仏教の影響があり、江戸時代まで長きにわたり肉禁は人々に根付いた概念となっていきます。

何十もの世代交代を繰り返している間も人々は肉を食べなかったわけですから
日本人が西洋と比べて小柄な体格なのもそのせいかもしれませんよね。

とはいえ、江戸時代後期になると「薬食い」と称して猪肉などは、こっそり庶民の食べられていたことが知られています。
そのほとんどはステーキのように焼いて食べるものではなく、肉を薄切りにして鍋で煮る料理でした。

その後、日本が開国すると外国からの洋人用に宿舎を設け、牛肉を使った食事のメニューが提供され始めます。

明治になるとさらに西洋文化の影響を受け、肉が盛んに食べられるようになりました。
その先駆けとして1872年(明治5年)明治天皇が肉を推奨するため自ら試食したことがきっかけとなり
人々にも文明開化の憧れとともに肉食ブームに拍車をかけることになっていきます。

人々の心を沸き立たせる牛肉は当時から高級な食べ物でしたが、いたるところに牛鍋屋のほか洋食店が軒を連ねはじめると
当時の好奇心旺盛な文豪たちもこぞって通い始めます。

そこで出されていた料理こそステーキの始まりとなる「ビフテキ」

当時のビフテキは現代のステーキよりも薄切りにカットされ、醤油やみりんで味付けされたものが主流でした。

文豪を夢中にさせた「ビフテキ」

ハイカラなものを求める当時の偉人たちはビフテキを食べる喜びとともに
自身の作品にも度々ステーキを登場させています。

(松本楼HP参照 http://matsumotoro.co.jp)

明治時代に活躍した夏目漱石もその一人、小説「野分(のわき)」には青年2人が卒業のお祝いとして昼食に食べるシーンが登場します。

話のなかで舞台となっている「公園の中の西洋料理屋」とは日比谷公園内にある『松本楼』。創業1903年を誇る今も実在している老舗のレストランです。

同じく明治の文豪、宮沢賢治の小説では「オツベルと像」の中でも六寸ぐらいのビフテキという表現がされています。

『学問のすゝめ』で有名な福沢諭吉においては、慶應義塾大学の創始者でもあり、昔の千円札の肖像にもなった著名な教育者ですが
同時に食欲旺盛で人一倍の好奇心の強い人物でもありました。

明治3年『肉食之説』という肉食を広める書籍まで出版し「肉を食べて活力を養おう!」と全国の人々に呼びかけていました。

あれから150年あまり

今までの質素な食事から、栄養価の高い肉食によるエネルギー補給を推奨した功労者たち。
当時から「肉を食べる特別感」や「沸き立つ心」は誰しもが感じる共通の思いだったようです。

シンプルに肉の味わいを噛みしめるステーキ、たくさん食べて元気を維持していきたいですね。