ステーキマイスターの北川ユウジです。

 

和牛の「良し悪し」を考える基準に
そのお肉がA4に入るか
最高級と呼ばれるA5に
なるのかで決まってしまいます。

 

でも本当にそうなのでしょうか?

 

確かにA4やA5の和牛のお肉は
火を通すとトロけるような味わいです。

 

しかし、だからと言って最高級と言われる
A4、A5の和牛だけが良いのか?というと
そうとも限らないのではないでしょうか?

 

 

気を悪くしないで読んで欲しいのですが
最近の食べ手のお肉の好みが
変わってきています。

 

その証拠に。

 

・赤身肉の方が肉の味がする
・お肉の量を食べれる
・胃がもたれない
・食べた次の日は調子が良い
・お肉を食べて健康になりたい

・・・・・など

 

このような人が増え続けています。

 

多分。

 

今後もこの動きは変わらないでしょうね。

 

しかし、そんな思考の変化を横目で見て
未だA4、A5の最高級と呼ばれる
霜降りの和牛の方が良い、と思っている
和牛農家の方がいます。

 

個人的に言わせていただくと
赤身肉も霜降り肉も、どちらも
美味しいですし、ステーキとして
食べると最高のご馳走です。

 

でも、あなたにぜひ知って欲しいことが
あります。

 

お肉が美味しいマズいとかではなく
どうやって和牛のA4、A5ランクが
産み出されていくのか?をぜひ
知っていただきたいと思っています。

 

この秘密を知ることで、和牛に対して
別の見方ができるはずです。

 

赤身がいい!霜降りじゃなきゃダメだ!
などと言わずに、国内で飼育されている
牛に対して価値観が変わると思います。

 

今回は、和牛のことを深く知り尽くしている
山梨県で甲州牛を育てられている
小林牧場を経営されている小林英輝さんに
分からないことを説明していただいています。

 

それでは楽しみに先をお読みくださいね。

 

和牛のA4、A5ランクは脂の入り具合で決まる

はじめに確認の意味でお伺いしますが
あなたはA4やA5のランク肉について
どのような認識をお持ちでしょうか?

 

超簡単に説明すると
和牛のお肉の格付けです。

 

格付けとはアルファベットA〜Cまでと
数字1〜5までの組み合わせで
判断をします。

 

ちなみにA〜Cの意味は「お肉の歩留まり」
を測ったものです。

 

Aランクは総重量の中でお肉になる部分が
たくさん取れるという意味です。

 

そこからBやCになるに従って
お肉の取れる量が少なくなります。

 

食べ手の私たちには歩留まりは
あまり関係ないかもしれませんが、
お肉を生業としている農家の方や
お肉を卸している業者さんにとっては
とても大事なことなのです。

 

なぜなら歩留まりが悪いと、1頭あたりの
牛の値段が想像よりも安くなってしまい
経営が赤字になり廃業をして
しまうかもしれないからです。

 

次は1〜5までの数字なんですが
こちらは肉質の意味しています。

 

お肉の評価基準はお肉の色合いや
光沢、サシの入り具合、脂の質などで
決まります。

 

これはお肉をセリ場に出向いている
業者さんの好みによるところが
大きいです。

 

なぜかというと、歩留まりはなんとなく
誰でも理解ができると思います。

しかし、脂の色やサシの入り具合などは
お肉の卸売業者が出入りしている
セリ場次第で変わってしまうからです。

 

A3で競り落とされた和牛なのに
サシの具合が多かったりするのは
その時のセリ場の状況がそうだったから
です。

 

なので、A4やA5のお肉は決して
サシの入り具合があるかないか?
だけではないということが分かると
思います。

 

以上のことを踏まえて次章を
お読みになってみてください。

 

和牛のA4、A5ランクは黒毛和牛にしか使えない

日本には和牛と呼ばれる品種が全部で
4種類います。

 

黒毛和牛、あか毛和牛、短角和牛、
無角種和牛です。

 

実は、日本で和牛として売られている
ほとんどが黒毛和牛です。

他の和牛も和牛として認められているものの
サシがあまり入っていないお肉の牛もいます。

例えば、最近人気が出てきている和牛の
赤毛和牛(あか牛)などは、サシはあまり
入っていなく鮮やかな赤身のお肉が特徴です。

 

赤身といっても外国産赤身肉と比べて
固くなく、火を入れるごとに脂分が
出てくるので美味しいと評判です。

 

それと東北地方で主に育てられている
短角和牛の肉質は筋肉質
黒毛和牛のようなサシはお肉には
ありません。

 

代わりにお肉の旨みが濃く。

 

赤身が好きな方にとても人気があります。

 

前述しましたが、牛の歩留まり具合や
サシの入り方や肉質を目視して判断する
A4、A5などでみる評価基準に当てはめると
全く別の観点で見ているお肉になってしまいます。

 

ですので、A4、A5などのランクづけ
されている牛肉は全て黒毛和牛
いうことになります。

 

ちなみに、他の和牛を黒毛和牛の評価基準
に当てはめてもいいんですが、最良のグレード
はサシが綺麗とか脂に重きを置いているので
あえてそのようなことをする必要は
ないようです。

 

和牛のランク分けはあくまでも
黒毛和牛のみに用いられる評価基準
ということになります。

 

山梨県で育てられた和牛のA4、A5ランクに与えられる甲州牛

これから山梨県で「甲州牛」を育てらている
小林さんの話をお出ししながら説明をします。

 

小林牧場では甲州牛の肥育は
まだ始めたばかりです。

 

元々は同じ山梨を代表する銘柄牛の
「甲州ワインビーフ」を育てています。

 

現在も甲州ワインビーフの生産頭数は
県内随一の規模です。

 

なぜ小林さんが甲州ワインビーフだけなく
甲州牛の飼育にも着手するようになったのか
興味深いお話をお伺いしました。

 

山梨県で肥育されて
ランクがA4、A5等級にだけ
「甲州牛」と名乗ることが許されている
貴重な銘柄和牛です。

しかし近年。

 

甲州牛の数が減ってきています。

 

和牛のA4、A5等級が
少なくなった訳ではありません。

 

黒毛和牛を飼育する農家さんの数が
減ってきているのが原因です。

 

これからさらに、甲州牛を育てる
農家の方が減っていくことが
予想されます。

 

もしかしたら今後。

 

幻の和牛になるかもしれない日が
来るかもしれません。

 

ではなぜ辞めてしまうのでしょうか?

 

一番の理由は甲州牛を育てても
農家さんの生活が苦しいからです。

 

いくら黒毛和牛のA4、A5等級が高いお肉
と言っても牛の飼育を別の視点で捉えると
かなり難しいのが想像できると思います。

 

もし黒毛和牛を育てていても
A4、A5等級として競り落とされなけば
「甲州和牛」や「山梨県産和牛」として
市場で安値で買い叩かれてしまうので
農家の方の大変さは一向に改善しません。

 

そこで、農家の方は自分たちが
生きていくために出来るだけ高値
買ってくれる牛を探して育てようと
します。

 

和牛A4、A5ランクは育て方よりも血統のほうが大事

これから話すことはかなり「リアルな話」です。

 

和牛に対してイメージが崩れてしまうかも
しれません。

 

それでも、あなたにはぜひ知っておいて
欲しいと思うので出来るだけ分かりやすいように
説明していきます。

 

これらは全て今回のインタビューにご協力いただいた
小林牧場の小林さんのご協力のもとに
作成しています。

 

小林さんは甲州牛の肥育を始めたばかりです。

 

前述しましたが、小林牧場は黒毛和牛ではなく
甲州ワインビーフを主に育てている牧場です。

 

なぜ、小林さんが甲州ワインビーフだけでなく
甲州牛を育てるようになったのかというと
山梨県の銘柄和牛がこのまま時が過ぎると
世代交代をせずに消滅してしまう可能性
を心配したからです。

 

黒毛和牛を育てることは
とてもリスクが高いです。

 

これから説明することをお読みになれば
なぜ黒毛和牛を育てることがリスクなのか
理解できると思います。

 

黒毛和牛は交雑牛と比べると
育てる環境の変化に対応しきれず
病気になる牛も多いといいます。

 

そして、黒毛和牛は飼育農家から仔牛を購入して
肥育して育てますが、黒毛和牛の仔牛は
他の品種の牛と比べても倍くらい購入価格が
違うそうです。

 

例えば、仔牛を育てて大きくしてA4、A5等級に
なれば、農家さんは嬉しいと思います。

 

しかし、なかなかそうはいかないようです。

 

良い和牛は全て血統で決まってしまいます。

 

つまり、仔牛を購入するときに良い血統の仔牛を
もらい受けなければ、高確率で甲州牛として
A4、A5等級のお肉にはならないといいます。

 

信じられないかもしれませんが、黒毛和牛が
A4、A5等級になるかどうかは、仔牛のときに
8割決まってしまっているようなものです。

 

ちなみに、良い霜降り肉になり体も
大きくなるような黒毛和牛は
血統の力が80%関係しています。

 

残り20%はお肉の味わいです。

 

お肉の味わいや深みは
牛にあげる飼料に何を与えるのか
で変わってきます。

 

もし、いくら血統が良くても
飼料が貧弱であればある程度までは
霜降りになりますが、肝心のお肉の
味わいは貧相になります。

 

でも、血統が良いので霜降り(強いサシ)
になることができます。

 

このように農家さんの努力は
2割程度しかありません。

 

ですので、どれだけ血統の良い和牛を
仕入れることができるのかで
甲州牛の数が決まってしまうようなもの
なのです。

 

私たちが小林さんに教えていただいた
黒毛和牛の最高の血統は「ユリカツヤス」
という名前が物凄く牛が大きくなると
言っていました。

 

実際、私たちも見せていただいたのですが
写真を載せておくのでよく目を凝らして
見ていただきたいのですが
1頭だけ物凄くデカイ牛がいます。

その牛が「ユリカツヤス」という
血統の牛です。

 

他の牛と比べて一回り以上大きいです。

 

ちなみに飼育日数は横にいる牛と
一緒です。

 

大体ですが、枝肉の総重量は
550キロ以上はあるようです。

他の牛の総重量450キロ前後くらいです。

 

枝肉の状態で約100キロ違うと
仮に取引価格がキロ単価2,000円とすると
200,000円違うことになります。

 

農家にとってはかなり大きいです。

 

このような事情で農家さんは出来るだけ
大きく牛を育てあげなければ
生活ができなくなってしまうのです。

 

なんとも難しい問題です。

 

甲州牛は28ヶ月〜29ヶ月間
育ててから出荷しています。

 

小林さんの牧場で育てている
甲州ワインビーフの飼育日数は
23ヶ月〜24ヶ月なので
甲州牛(黒毛和牛)の方が
飼育日数は多めです。

 

肥育期間を延ばすと
その分、牛の体は大きくなり
霜降り具合も強くなります。

 

今後はそれらも考えているようです。

 

甲州牛がただの「霜降りお肉」
にならないためにも必要なこと
なのかもしれません。

 

小林さんが目指す甲州牛は、
他の牧場で育てている甲州牛とは違い
『味が美味しいと言われたい』
と言っていました。

 

そうするとA5等級は脂が多すぎて
しまうのでA4等級で赤身と霜降りの
バランスが良い甲州牛を目指して
います。

A4、A5ランクの甲州牛を食べてみた感想

私たちは今回、
甲州牛を実際に食べてみました。

 

見る限りA5ランクだと思います。
(お値段もそのくらいしました。)

 

個人的な感想は「美味しい!」
とは思いますが、お肉の味よりも
脂の味といった印象です。

ここだけの話、「何か物足りない・・」
と感じました。

 

これはあくまでも好みなので
どうかと思いますが…。

 

小林さんが言っていたように
甲州牛でもサシが旨いのではなく
お肉が美味しい黒毛和牛(甲州牛)が
存在していたら食べたい、と
思うかもしれません。

 

この先。

 

小林さんみたいな方が増えてきて
「〇〇牧場の甲州牛」のような
銘柄和牛を超えた人気の牛
増えていくといいかもしれませんね。

 

そのためにも、お肉を調理して提供している
レストランやホテル、スーパーなども
A4、A5だけが良いお肉と思わないで
出来るだけ美味しく食べることが
できるように調理技術を磨く努力も
必要だと感じました。

 

何にせよ。

 

サシだけでお肉を判断をするのではなく
お肉の味にも注目したいものです。

ステーキとして食すのであれば
小林牧場で育てられた
「甲州牛」をステーキにして
食べたいと思いました。

 

あなたの肉ライフの助けになれば
嬉しいです。

 

お読みいただきありがとうございました。