ステーキマイスターの北川ユウジです。

 

あなたは畜産農家と聞いて何を
想像しますか?

 

・大変そう
・重労働
・牛を育てるなんてできない
・休みがなさそう
・牛がかわいそう

・・・・など

想像しているのではないでしょうか?

 

確かに今までの畜産農家
そのようなイメージだったと思います。

 

今回ご紹介する「小林牧場」を経営
している小林英輝氏にお会いして
次世代の畜産農家の形
見ることができました。

このページではこれからの日本を
斬新なアイデアで牛を育てる畜産農家
スポットを当てて解説していきます。

 

この記事を読むと牛がどのように
育てられ、私たち人間が生きていくために
助けられているか、次世代の畜産農家
の形に明るい未来を感じると思います。

 

牛に対する考えが少しでも変わって
くれると嬉しいです。

 

山梨県で一番大きな規模で牛を育てている牧場

今回、お邪魔した小林牧場は
山梨県甲斐市にあります。

 

山の斜面を牧場にされていて
標高1000Mある場所です。

 

とても涼しく自然が豊かに残っています。

 

夜になると空一面に満天の
星空が広がり清々しい環境です。

 

この環境を東京など都市部で
堪能しようとしても
探すのが難しいと思います。

 

空気が何よりも澄んでいて綺麗です。

 

豊富な湧き水が溢れています。

寒いエリアを好む牛にとって
抜群の生育環境です。

 

そんな場所に
小林牧場はあります。

 

山梨県の中では一番大きな
牧場です。

 

現在、飼われている牛の数は
1330頭います。
(2019年5月現在)

 

その中で「甲州ワインビーフ」
呼ばれる牛が1200頭ほど
育てられています。

 

それと。

山梨県を代表する特産品である
「甲州牛」の数が減り始めていることに
危機を感じ、このままでは
消滅してしまうかもしれない…。

 

「地元を守りたい」使命感に
駆り立てられて最近、130頭ほどの
甲州牛を育てています。

ちなみに牧場の規模はあまり想像が
つかないかもしれないので
簡単に説明します。

 

山梨県で2番目に大きい
牧場の牛の数は300頭です。

 

1330頭と300頭では4倍以上
開きがあります。

 

山梨県の中では一番大きな牧場
ということをこれでお解りいただけた
と思います。

 

あと、わずか5頭ほどですが
羊も飼っています。

 

羊は牧場にある雑草を食べてくれる
大事な仲間のような存在です。

 

私たちが牧場を歩いていると
『誰がきたのかな?』
と覗き込むように眺めていました。

山梨県の銘柄食肉ってなに?

 

山梨県が誇る甲州統一銘柄食肉について
ご存知ない方もいると思うので
はじめに説明します。

 

山梨県が認める銘柄牛は
甲州牛、甲州ワインビーフ、甲州麦芽ビーフ
と全部で3種類あります。

甲州牛

山梨県で育てられて黒毛和種
肥育牛の中でも最高ランクの和牛です。

 

品質のランクがA4.A5と認められないと
甲州牛と呼ぶことはできません。

 

ちなみに甲州牛として名乗ることができない
お肉の場合は「山梨県産黒毛和牛」
または「甲州産和牛」として
市場に出回ることになります。

 

甲州牛のお肉は柔らかい肉質と
鮮やかな肉の色が特徴です。

甲州ワインビーフ

甲州ワインビーフは山梨県の特産品のワイン
を造る時に出るワインの搾りかすを飼料として
与えられた牛肉です。

 

ワインの搾りかすには
牛の健康に不可欠な素晴らしい
繊維質が大量に含まれています。

 

さらに、ブドウの皮に含まれる成分が
肉質を変化させて風味のある味わいの
お肉になることができます。

 

きめ細かい柔らかさとほんのりと甘みのある
お肉になり旨さが引き出されています。

甲州麦芽ビーフ

甲州麦芽ビーフは牛に与える飼料が
ワインの搾りかすではなく。

 

ビールやウイスキーを作る際に出る
副産物の「麦芽糖化粕」を飼料の一部に
混ぜて与えられた牛です。

 

ウイスキーやビールの原料は本来
牛が必要としている青草に近いので
牛にとっては自然に使い飼料です。

肉質は肉本来の旨味と
ジューシーな味わいがあります。

酪農から食肉牛へ変更、そして甲州ワインビーフへ

小林牧場は今の代から3世代前に
酪農業からスタートしています。

 

現在のような肉牛肥育は
先代の時から始めています。

 

今回、インタビューにご協力いただいた
小林英輝氏が実家の跡を継がれています。

 

元々は酪農を営んでいたのに
肉牛肥育になぜシフトしたのか?を
お聞きしたところ、とても興味深いことを
教えていただきました。

 

それは戦後の日本の成長と牛たちが
関係していました。

 

小林牧場の始まりは40頭ほどの
乳牛(ホルスタイン種)
を飼い始め生乳の生産から
スタートしています。

 

当時の酪農業は戦後に欧米の文化が
日本に伝わり、それまでコメを主食に
していた日本人がパンを食べ始めるように
大きく変わっていった時代です。

 

その頃は酪農をして生乳を生産している
農家の数は少なく、日本全体で見る
生乳の生産量は需要があるのに
足りていない状態でした。

 

世の中は今まで米主体の和食から
洋食の美味しさが受け入れられていた
時代です。

 

ですので、一般消費者の方は毎日
牛乳を飲んで健康的になりたい。

 

牛乳を使ってバターや生クリームなどを
作って販売をしたい。

 

などの需要があったのです。

 

中には、代々に渡って野菜を作っている
農家の方も酪農のほうが商売になるから
といって仕事を全て酪農へとシフトした方も
いるそうです。

 

このようにして日本全国規模で牛乳の生産
が本格的に活発になっていきました。

 

酪農家の数が増えてくると同時に
今までは足らないくらい売れていた
牛乳が次第に余り出していきます。

 

日本における労働環境も
酪農業に追い打ちをかけてきます。

 

週休2日が当たり前のサラリーマンの
働き方が世の中の中心的になり酪農業
は、その働き方には不向きです。

 

酪農の大変さを知らない私たちには
想像がつかないかもしれませんが、

乳牛(ホルスタイン種)は365日
毎日牛の乳を絞らなければなりません。

 

もし、牛の乳搾りを忘れてしまったり
本人が病気などで休んでしまう
と牛が「乳房炎」という病気
なってしまうんです。

 

現在も牛を育てているので365日間、
牛のことを見なければなりません。

 

しかし、政府が掲げている
働き方改革に対応できなければ
今後、畜産農家は生き残れない…。

 

「生き残りをかけて前衛的に取り組みたい」
という意向と、これからの時代を生き抜くには

 

「働き方を変えなくてはならない!」

という、強い使命感と畜産農家としての
思いを両立させていくために
牧場での働き方も変えていくようになります。

 

現在では広大な牧場を最新の機械を
導入することや徹底した合理化を進めて
9人で大きな牧場を運営することに
成功しています。

 

牛を育てているから分かる畜産農家の賢い選択

これまで疑問だったことに

なぜ、全国で飼育されている牛の種類に
黒毛和牛の数が圧倒的に多いのか?

その答えを見つけました。

 

簡単に分かりやすくいうと
黒毛和牛の方がしっかりとした規格があり
高値で取引されるため

「商売として成り立ちやすい」からです。

 

このように話すと

『牛を商売の道具に使うなんて
信じられない!』

 

という反論があると思いますが
畜産農家の仕事は立派な牛を育てて
食べ手に喜んでもらうことです。

 

だから、ある意味。

人間と牛はともに共存をしている
といってもいいと思います。

 

牛を大事に育て上げてお肉になった時に
食べた方から美味しい、と言われることが
何よりも嬉しいと小林さんはおっしゃっていました。

 

牛も大事に育てられているのが
分かっているらしく、私たちが
牧場に見学に行った時も
特に警戒するわけではなく…。

 

大きな声で鳴き出すこともなく
ノンビリと草をムシャムシャと
食べていました。

 

たま〜に
「腹減った〜」と
モーーと鳴いていました。

 

話を戻すと。

 

全国の農家さんたちはこぞって
少しでも高値で取引をされる黒毛和牛
だから育てようとします。

 

しかし、それですと和牛の大きさだけの
競い合いになり、肝心なお肉の味は
なおざりになってしまいます。

 

そんな中で小林牧場では高値が良し
とされる和牛は余り育てず
「甲州ワインビーフ」を育てることに
しました。

 

甲州ワインビーフは前述しましたが
「ワインの搾りかす」を与えて大切に育てて
いるのでお肉の味わいが他の牛肉よりも
風味豊かだと感じます。

 

黒毛和牛は高価のため、
特別な日の食事として人気があります。

 

甲州ワインビーフは黒毛和牛ほど
ではないので、日々の食卓や
外食などで食べやすく人気があります。

 

今では山梨県だけではなく関東一円で
人気が出ている最注目の牛です。

 

このように黒毛和牛や外国産の牛肉ではなく
国内で飼育された出所がしっかりしている
お肉を日常的に食べることができるようにする

 

重要性に目を向けて甲州ワインビーフブランドを
確立されています。

 

牛を育てることの大切さを地場に伝える

小林牧場では少しでも牛に触れ合う
機会を増やして欲しい、という思いで
現地の3つの学校や生協などの企業に対して
積極的に情報を発信しています。

 

それと、同郷(韮崎高校出身)のサッカー選手
として有名な中田英寿選手もワザワザ
小林牧場を訪れて命の大切さについて
話をされたそうです。

 

「命をいただく大事さ」という食育に
対して力を注いでいます。

 

輸入牛肉と比べて国産の牛肉は
価格が高いと思われていますが
外国産にはない、できないような
取り組みを積極的に行っています。

 

国内で飼育している牛には必ず
「トレーサビリティー」という個体識別番号
から、今食べている牛肉がどんな経路を
経たお肉なのか誰でも見れるような
システムがあります。

輸入産牛肉と比べて食べる側にとって
安心して安全な牛肉を食べるために
必要なことです。

 

小林牧場では「トレーサビリティー」からさらに
踏み込んだ安全、安心を感じて欲しいという願いで
農林水産省が管轄している
「生産情報公表JAS規格」
取得しています。

 

JAS規格は国が定めている厳しい基準に
合格するのが難しい規格と言われています。

 

そのため、小林牧場では牛を育てるのに
必要な全ての情報を開示しています。

 

例えば、育てている牛が病気になってどんな薬を
どのくらい投与されたのか?
どんな種類の薬を投与されたのか。

 

どんな餌をどのくらい与えているのか?など
聞いただけで頭が痛くなりそうな
細かい情報を全て開示しています。

 

山梨県ではJAS規格を持っている牧場は
ゼロです。

 

小林牧場の方針としてあくまでも

『自分たちの管理として行っています。』

『もし、うちの牛のことで知りたいことが
あればいつでもHPに識別番号を入力すれば
見れるようにしていますので見てください』

と言っていたのが印象的でした。

 

管理体制がしっかりしていて
自信があるからこそできることだと思います。

 

海外の牛肉はトレーサビリティーはありませんし
そもそも誰がどのような飼料を与えて
どのくらいの日数を掛けて育てたのか?

 

遺伝子組み換え飼料を与えていないと
言っていますが、信頼性も乏しいですし
お肉の味に開きが大きすぎるように感じるのは
私だけでしょうか?

 

その点。

 

日本国内で飼育している牛においてはコスト面は
多少割高になりますが、完璧と言ってもいいくらいの
管理体制ができていて、味も外国産のお肉と比べて
大きな開きがないのであれば、国産のお肉の方が
いいように感じました。

牛を育てながらブドウ農家に必要とされる次世代の牧場へ

甲州ワインビーフを育てるために
必要な飼料はぶどうの“搾りかす”です。

 

牛たちに毎日ぶどうの搾りかすを
飼料としてあげなくてはなりません。

 

だから、大量の「ぶどうの搾りかす」
が必要になります。

 

その際に大きな問題があります。

 

ぶどうの搾りかすは収穫時期しか
手に入らないことです。

 

山梨県のぶどうの摘み取りは
8〜11月までにしか行われません。

 

前述しましたが、甲州ワインビーフとして
牛を育てるにはこの時期しか取れない
「ぶどうの搾りかす」を1年中食べさせる
必要があります。

 

収穫時期になると大量にぶどう農家さんから
「搾りかす」を貰い受けています。

 

そして大量の「ぶどうの搾りかす」を
発酵をさせることで1年間を通して
与えることができます。

 

小林牧場では牛に「ぶどうの搾りかす」を
与えるだけではなく「循環型農業」への
試みを率先して行っています。

 

まずブドウ農家さんから時期になると
「ブドウの搾りかす」を貰い受けて
乳酸発酵させて牛の飼料の一部として
使います。

牛は栄養満点の飼料を食べて
育ちます。

 

牛が食べた後に出てくるフンや尿が
出てきます。

 

今まではそれらを捨てていましたが
専用の堆肥施設を建設して
有機飼料への資源化を
しています。

 

作られた堆肥を今度はブドウ農家さんが
ブドウを育てる肥料として使います。

 

堆肥の中でもステビアと呼ばれる
ハーブを混ぜたモノは農家さんの中でも
人気が高く、栄養が豊富で作物が
立派に育つそうです。

 

元々は廃棄物処理をしていた
「ぶどうの搾りかす」を牛に与えること
甲州ワインビーフの銘柄牛が生まれました。

 

その甲州ワインビーフを育てた時に出てくる
フンや尿などで堆肥にして農業の有機飼料
することにより「循環型農業」にしています。

牛に与える飼料

小林牧場では牛に与える飼料にも
独自の配合で与えています。

 

トウモロコシやぶどうの搾りかす
を使う他に「豆腐の搾りかす」からできる
“おから”籾殻などを牛に与える
飼料としています。

 

最近、新しく試みていることは
お米を飼料の一部に混ぜることです。

肉質が柔らかくなり風味が増す
という利点があります。

 

牛も好んでよく食べてくれるそうですが、
お米をあげることは牛を育てている農家に
とっても同時に
リスクが伴います。

 

理由は、お米は牛にとっては
消化が良すぎてしまう飼料だからです。

 

普段消化によくない草類を
食べている牛にとって
お米を食べすぎると牛の胃袋が活性化
しなくなり牛が病気になってしまうそうです。

 

なので、今は影響がない程度に
少量ずつ与えているようです。

 

小林牧場では地元や日本の農家の方と
共存共栄をすることを望まれています。

 

その一環として進んで国内産の米を使っています。

 

ちなみに、お米を人間が食べるのでなく
なぜ牛に飼料として与えるのかというと
今の日本はお米を作っても売れないそうです。

 

だから日本政府が飼料米を作っている
コメ農家さん向けに今まで人間用の米を
作っていた分のお金を補填しているそうです。

 

これにより、小林牧場で使用している
飼料のトウモロコシ以外は全て
国産ということになります。

 

この先は牛に与える飼料全てを国産にしたい
と意気込んでいました。

 

外国産の飼料の方が大量に輸入されるので
安く手軽に手に入れられそうですが
あえて、国内の農業の方と連携を組み
国内の畜産と農業が共存共栄できるように
取り組まれています。

 

この話をお聞きして、手軽な外国産に
頼るだけでなく自分たちでできることは
お互い協力して行う姿勢を持つこと。

それが、次世代の日本に必要な畜産農家の
形なのかもしれません。

 

まとめ

今回のインタビューを
総集編の動画でもまとめました。

よければご覧ください。

小林牧場の「甲州ワインビーフ」の
年間出荷頭数は650頭です。

 

今でこそ、甲州ワインビーフでは
名前が知られるようになりましたが
初めからこれだけ多くの頭数を
出荷していた訳ではありません。

 

始めた当初は大変だった時期もあり
売れなくて、どうしようと思ったことが
何度もあったといいます。

 

そんな中。

 

甲州ワインビーフの美味しさに
共感をしたレストランやホテルなどが
少しずつ増え、使ってもらうことができました。

 

そして、甲州ワインビーフを飼育していく
中である疑問が出てきます。

 

輸入牛肉と比べて甲州ワインビーフは
何が違うのか?を考えていく必要があると感じ

牧場を経営する傍らで直販所
構えることにしました。

 

今後、益々国内における牛肉市場は厳しさを
増してきます。

甲州ワインビーフ

何も自分たちが動かず待っていても
何も変わらないし、自分たちのしていることの
価値を感じて貰うことはありません。

 

少しでも甲州ワインビーフを愛してくれる
地元にとって必要不可欠な畜産農家として
確固たる地位を築かれている姿に
感動をしました。

 

もし、この記事をご覧になり
甲州ワインビーフをぜひ食べてみたい!
いう方がいましたら、下に情報を載せておくので
連絡をしてみてください。

ちなみに直売場は一週間で甲州ワインビーフが
3頭分もの肉が買われているくらい
一般のお客様には人気があります。

一般のご購入(家庭用)

美郷

営業時間:10:00〜18:30
定休日:火曜日(祝日の場合は営業)

 

・甲斐島上条店 tel: 055-267-3113

・甲府大里店   tel: 055-242-0265

・南アルプス店  tel: 055-267-7640

 

ご協力いただいた牧場

小林牧場

業務用として甲州ワインビーフを
検討されている会社様があれば
私どもにご連絡をください。

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