近頃はさまざまな牛肉の品種がスーパーや精肉店で購入できるようになりました。


和牛、国産牛のほか外国産の牛肉もステーキ用として並んでいます。


たまには美味しい肉を食べようと、自宅用に買ってきても
初めから薄く切られている焼肉やしゃぶしゃぶは作れるけど


厚みのあるステーキとなると途端にむずかしいと感じる方が多いようです。


自宅のフライパンだと、肉を焼きすぎて硬くなってしまったり、逆に生焼けすぎたり・・・せっかく奮発して買ってきた、上質な肉も家族からは文句を言わては台無し。


あなたもこれまでに「ステーキを上手に焼けない」と不安になった経験ではないでしょうか?


レア・ミディアム・ウェルダン。
家族みんなが満足するステーキを自宅でも作れたらいいのに・・・


今回は“ステーキを簡単に焼いて、誰もが笑顔になる

を、テーマに美味しいステーキを焼く方法を探して、鉄を専門に扱う「池永鉄工」さんにお話を伺ってきました。

豪華!お店のような鉄皿ステーキ

「そんな時は鉄皿がとても便利ですよ」と


ご提案いただいたのが、
池永鉄工株式会社 東京支部の池永拓記(いけながひろきさん。以下「拓記さん」という)



とても穏やかな口調で丁寧にご説明くださいました。



このような鉄皿は、
飲食店でよく見かけますよね。


ステーキハウスなどでは定番スタイル。
普通のお皿よりも冷めづらく、食材を熱々のままテーブルへ運ぶことができます。



お店のキッチンからジュージューと香ばしい音を立てて肉汁を飛ばしながらは運ばれてくるステーキは、さらに高温の鉄皿の上で焼かれていきます。


よく熱した鉄は蓄熱率が高く、時間が経っても温度を保つことができるので、


ステーキであれば【あえて肉はレア】で出すのがオススメです。


鉄皿の場合、一人一皿づつというスタイルで食べることになるため、自分用のステーキを確保することでだれにも邪魔されず。


焼き加減を調整しながら、好きなソースや調味料をかけて自由に味わう楽しみがうまれます。


さらには、鉄皿にのせて食卓へ出すことで手間も省けて家族も笑顔になる。
特別な日は見栄えがいいステーキで会話も盛り上がりますよ。


と、鉄皿をついてお話いただいている拓記さんの会社は大阪市東成区に本社を構えて創業80年。


現在はお父様で4代目となる、先祖代々「鉄」とともに歩まれてきた専門家です。





創業当初(昭和12年)建築用のジャッキを扱うところから始まったそうです。


その後、鉄の加工技術の進歩とともに大型のかき氷削機のほか、


岩手県の南部鉄器を取り入れたものなど、時代とともに様々な鉄製品を扱っていらっしゃいます。


ただ、息子さんでいらっしゃる拓記さんは
家が何の仕事をしているのか、あまりよく分かっていないまま、大学へ進学したといいます。


「父親はいつも忙しそうで、家業についてあまり話したことはありませんでした。」


鉄とは関係ない理系の大学を選んでいますし…」と拓記さん。


少しだけご自身についてもお伺いしてみました。

ステーキは家族それぞれの楽しみ方がある

〜家業について知らなかったんですか!?〜

拓記さん:はい、入社後になってようやく…。

商品ラインを見ていると
「あ、これ実家にあったやつと同じだ。(笑)」みたいな、懐かしい記憶とつながることがよくあります。

〜ご実家ではどんな鉄製品を使われていましたか?〜

拓記さん:フライパンや、たこ焼き器など鉄製のものはすべて自社のものでしたね。


そんな中でも1番はステーキ用の鉄皿は家族人数分の枚数がそろっていました。

ステーキは特別な日だけに母が用意してくれる「ごちそう」

高価な牛肉を食べることができるチャンスは、毎年1〜2回でしたが、やはりその日は朝から家族みんなでテンションが上がっていました。





〜さすが、鉄工会社を経営されているご家庭ならではのエピソードですね〜

拓記さん:面白いことに、私は兄と姉の3人兄弟なのですが、ステーキを食べる手順がそれぞれに違うんですよ。


表面だけに焼き色がついている”レアな牛肉”と、タマネギやジャガイモが一緒に熱々な状態で運ばれてきます。


すぐさま豪快に食べ始める兄と、対照的に鉄皿に肉を押し付けながら「よく焼き」で食べる姉。


それぞれのスタイルでステーキにかぶりついていました。(笑)


私はというと、前半と後半で牛肉にじっくり火が入っていくのを両方楽しむタイプ。


そのときは、あらかじめステーキを半分、鉄皿のすみっこに寄せて熱が入らないように避難させておくのがコツなんです。


〜でも自宅で鉄皿を扱うのは難しそうです〜

拓記さん:そんなことないですよ、今はIHにも対応した鉄皿もあり、重さも比較的に軽いものが主流になってきています。


焦げ付きにくい加工になっているタイプであれば、お手入れもカンタンです。


ご家庭では一般的に
ホットプレートを出して→材料を切り揃えて→順番に焼いていく。


という手順のほか、フライパンだと一枚づつ焼けたものからお皿に乗せていたのでは、最後のステーキのころには1枚目に焼いたものが冷めていきますよね。


冷めたステーキほど悲しいものはありません。


ですが、鉄皿であれば食卓へ出すまでのスピードが違います。
サッと焼くだけで、手間がかからない時短料理といえるのではないでしょうか。



〜では実際にどのように作ればいいですか?〜

拓記さん:はい、本当にカンタンで私もよく作っているのですが、


鉄皿をフライパンのように扱えばいいだけなんです。


1・コンロの上に乗せて火をつけたら油をなじませて玉ねぎやコーンなどの野菜を炒める。


2・しんなりしたら鉄皿の隅っこに野菜をよせてスペースを空ける。


3・レアでも食べれる安全な牛肉をのせて、サッと両面を焼いたらすぐに、専用の木のプレートに乗せてテーブルへ運ベば完成。


あとは、自分用のステーキを鉄皿の上で好みの焼き加減に調整し、ソースや調味料など、自由に味を変えながら楽しみが広がります。





実家の母は、キッチンのガスコンロを同時に2つを使い、家族みんなの鉄皿を順番に焼いていました。


ただし、もし自宅で鉄皿ステーキを実践されるのであれば、注意していただきたいことがあります。


鉄皿は非常に高温なので絶対に素手でさわらないでください。


キッチンミトンのような布地の手ブクロより、耐熱用のグローブを使うか、


できれば、鉄皿専用のハンドルで引っ掛けて、持ち上げるのが安全です。



〜最後にお手入れで気をつけることを教えてください〜

拓記さん:食べ終わったら、余熱に注意して鉄皿をシンクに運び、


なるべく早いうちに柔らかいスポンジで洗ってください。水へのつけおきは、鉄に負担がかかるのでやめたほうがいいです。


脂を落とすために、お湯も洗剤も使用して大丈夫ですが、カネ(金属)たわしで洗うのはNG


表面の加工に傷がつくと、そこからすぐにサビが発生し、焦げ付きの原因になりますから。


そして洗った鉄皿は、タオルなどで水分をふき取るか、よく乾燥させてから保管してください。


・しっかり乾かす
・傷をつけない


気をつけるのはこの2点。
ぜひ、ステーキハウスのような鉄皿を自宅でも試してみてくださいね。





鉄皿で食べるステーキ素晴らしいですね。
拓記さん、丁寧にご説明いただきありがとうございました。


初めは鉄工業にあまり関心が持てなかった拓記さんも、社会へ出ることで改めて代々続いてきた家業への関心が高まり、いつの日から現社長のお父様の背中を見て、さらには超えていきたいという意思を持たれるまでに気持ちが変化されています。


いま、喜びを感じる瞬間は?と伺ってみると、自社の製品がお客様のもとへ届き、安心して使っていただいている様子や、満足している感想をお聞きするたびに「ホッ」と肩をなで下ろし、とても有難い気持ちになるそうです。

鉄は私たちの身近な存在

ステーキ協会では、美味しいステーキを焼くのに「鉄」は欠かせない相棒だと考えています。


「今夜はステーキ」と聞いたら、たちまち家族みんなが笑顔になる、ステーキはそんなとっておきの献立。


あの、たまらない肉の香ばしさは“鉄×素材”の組み合わせだからこそ、私たちの食欲を刺激してくれます。


しかし近年は、生活に便利なものが増えたおかげで手間がかからず、使い捨てのような調理器具も多くなりました。おかげで、鉄製品を家庭であつかうことに抵抗を感じるかたが増えてしまったと言います。


重くて錆びる、手入れがしずらいなど。


理由はいろいろあるかと思いますが、「鉄工技術の世界」もそんな時代のニーズとともに、お客様に寄り添いながら歩んでいます。


まずは、手始めに焦げ付きにくい加工の鉄皿や、鉄のフライパンから使ってみるのもいいかもしれません。


その一方、日本の伝統工芸品として
揺るぎない地位を得ている鉄といえば、岩手県の【南部鉄器】です。


今だに職人さんが一つ一つ手作りし、大量生産できない技術が集約しているため、高価ではありますが、使い方によっては一生モノ長く使い続けることができるという特徴があります。


冷たい印象のある鉄製品ですが、愛着が湧いてくると手に馴染む温もり」を感じることができるのだそう。


蓄熱率が高く、テフロンやアルミと比べて食材が香ばしく焼きあがる鉄は、私たちの生活に切っても切り離せない道具です。


私たちは今回のお話を聞いて、古き良きものと次世代のニーズを感じ取る両軸のおもしろさ。


「これからも日本文化の象徴である鉄と、真髄に向き合っていきたいんです。」と、未来をみすえる拓記さんの想いに、私たちも共感する熱い想いを感じました。